トップ > テーマ > 宇治十帖 > 08蜻蛉

08 第52帖「蜻蛉」

< 07浮舟08蜻蛉 09手習 >

 

「蜻蛉」は宇治十帖の8、源氏物語第52帖にあたります。 浮舟が失踪したことで宇治の山荘は大騒ぎになりました。薫と匂宮との三角関係に悩んでいたことを知った女房達は、入水を推察して、世間体を繕うため浮舟の母を説得して、形ばかりの葬儀を営みました。浮舟の身の上におこった事態に薫は嘆きながらも、手厚く四十九日の法要を営みました。その後は、浮舟のことを忘れたかのように薫と匂宮はほかの女性に目移りしてしまいます。薫は妻女二の宮の異母姉、女一の宮に恋心を抱きます。そればかりか、女一宮の女房になった宮の君さえも、匂宮と取り合ったりするのです。

蜻蛉

かげろう

- ありと見て 手には取られず見れば又 ゆくへも知らず 消えし蜻蛉 -

 

朝になり、浮舟がいないことを知った人たちは、皆大騒ぎとなって浮舟を探し始めました。

そして、浮舟が母の中将の君にあてた手紙をみて、入水自殺を図ったことを確信しました。京から宇治にやってきた匂宮の使者は、浮舟が入水自殺をしたと匂宮に告げました。

浮舟が薫と匂宮との三角関係に悩んでいたことを知っていた右近は、宇治に駆けつけた浮舟の母、中将の君に真相を伝えました。しかし、中将の君は、世間体を取り繕うため、匂宮との関係や入水自殺を隠匿して、亡骸のないまま、浮舟の葬儀をさっさと執り行いました。

薫は母の女三の宮の病気平癒の為に参籠しており、浮舟の葬儀が済んだ後で、やっとことの次第を聞きつけました。驚いた薫でしたが、手厚く四十九日の法要を営みました。

 

その後は、浮舟のことを忘れ、匂宮は新しい恋をさっさと始めます。

薫は明石中宮が主催した法華八講で見かけた女一の宮(薫の妻、女二宮の異母姉)に恋心を抱き、家に戻って妻である女二の宮に、女一の宮と同じ着物を着せるなどするのです。しかも、着せてみた後に似てないと絶望します・・・

 

宇治十帖古跡|蜻蛉

蜻蛉之古蹟

蜻蛉の帖名は、薫が浮舟や大君など故八の宮の娘たちのことを偲んで詠んだ歌、「ありと見て手には取られず見れば又ゆくへも知らず消えし蜻蛉」に由来します。

線刻阿弥陀三尊仏

平安時代の作品と考えられ、俗に「がげろう石」とよばれています。石の高さは206cm、下部幅は106cmあります。正面に阿弥陀如来、右に観音菩薩、左に勢至菩薩が描かれてあります。宇治市指定文化財。

線刻阿弥陀三尊仏(拡大)

【地図】宇治十帖古跡

< 07浮舟08蜻蛉 09手習 >

▲top