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05 第49帖「宿木」

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「宿木」は宇治十帖の5、源氏物語第49帖にあたります。一時とりやめになっていた匂宮と六の君との結婚が決まり、中の君は宇治を離れて匂宮のもとへやってきたことを後悔しはじめます。薫はそんな中の君の悲しむ姿を見て、匂宮を恨むとともに、中の君に心を寄せ始めました。

宿木

やどりぎ

- 宿りきと思ひ出でずは木の下の 旅寝もいかに寂しからまし -

夕霧は娘の六の君の婿に匂宮を願い出ます。気が進まない匂宮でしたが、母である明石中宮の願いでもあり、結婚することにしました。しかし、六の君の美しさに匂宮は虜になってしまいました。そして、中の君との間が次第に疎遠になっていきます。

この匂宮と六の君との結婚が決まり、中の君は宇治を離れて匂宮のもとへやってきたことを後悔しはじめます。光源氏の子であり、時の権力者の夕霧の娘と自分とでは、かなうはずもないと・・・。そして、宇治に帰りたいと思うようになりました。

薫はそんな中の君の悲しむ姿を見て、匂宮を恨むとともに、中の君に心を寄せ始めました。もともと未練たっぷりの薫でしたから、匂宮との結婚を解消して宇治につれてかえる手配もしてあげるつもりだったのです。宇治へ帰りたいとすがる中の君に言い寄った薫でしたが、その時に、中の君が懐妊していることに気づいたのでした。

中の君が懐妊しているということを知り、匂宮は一転して再び中の君に愛情を寄せるようになりました。そして、薫と中の君が親密なのをとがめました。中の君は再び匂宮のことを信用し、京に残ることにしました。

しかし、薫は中の君を諦めることができずにいました。そして、中の君を何度も口説きます。

 

困り果てた中の君は、自分への未練を断ち切らせるため、再び薫が言い寄ってきた際に、亡き大君にそっくりな異母妹の存在を打ち明けました。父の八の宮が認知しなかったため、母の再婚先に一緒に行ったということでした。この話に薫は大いに興味を持ちます。そして、亡き大君にそっくりだというその娘をぜひ見てみたいと思うようになったのでした。

この八の宮の娘で、大君・中の君の異母妹が、源氏物語最後のヒロインである浮舟です。

浮舟は薫と匂宮の両方から愛情を受け、その三角関係に悩み苦しみます。そして、今まで作品中に幾多も登場してきた女性たちではありえない行動で、その三角関係を解消するのです。

その後、中の君は若君を産みました。一方で、大納言に昇進した薫は、以前から帝に勧められていた女二の宮と結婚しました。

ある日、宇治を訪れた薫は、偶然に浮舟を垣間見ることができました。薫は浮舟を垣間見て、

「あはれなりける人かな。かかりけるものを、今まで尋ねも知らで過ぐしけることよ。」

(美しい人だ。このような人を今まで知らなかったなんて・・・)

といって驚喜します。

 

中の君が言っていたようにあの大君にそっくりだったのです。

 

宇治十帖古跡|宿木

旅館街の先、宇治川を50mほど上流に行ったところに宿木の古跡があります。ちょっとした広場になっていて、中央に石碑があります。

こちらの石碑は、宇治十帖古跡の他の場所にも見られるものです。「宿木」が「寄り木」となっています。宿木とは、ケヤキなどに寄生する植物のことです。

【地図】宇治十帖古跡

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